犬飼萌乃さん(7期生)

簡単に自己紹介をお願いします。

はい。私は大阪大学薬学部の5年生で、分子標的薬の副作用を予測・回避する手法の開発をしています。もともと小学生の頃から薬剤師になりたいと思っていました。医師の道と悩みましたが、医師として目の前の患者さんを救うことよりも、新しい薬によって世界中の患者さんの命を救うことに興味を持ち、薬を作る側に立ちたいと思い、今の進路を選びました。研究について学ぶ中で、大学での基礎研究の成果を社会問題の解決へとつなげるアカデミアと産業界との連携が重要であると気が付きました。一方、日本では先進的な基礎研究と企業による事業化開発、つまり社会実装までつなぐ間にギャップがあり、このギャップを埋めることで革新的な医薬品の創出に貢献したいと考えています。目下の進路としては製薬会社の臨床開発職を目指しています。

 

なぜ薮中塾に参加したのですか?

薮中塾を知ったのは、数年前の公開イベントです。イベント自体もすごく興味深い内容でしたし、登壇された方がかっこよかったのが印象に残っています。しかし、登壇された方は自分とは全く異なる専門性を持っていて、その時は応募しようとは思いませんでした。応募したきっかけは、新型コロナウイルスです。世界各地で国民に対するコロナ対策が異なり、健康格差を生まれていることに疑問を感じました。医療はどの国の人にとっても平等なものだと思っていたのに、命に格差が生まれ、一部の国の人には医療が届けられていない現状を知る中、なぜ政府はそういった政策をするのか、国家間のどういった力関係によってそういった政策が行われているのかを学びたいと思いました。ニュースを見るだけでなく、自分で1から考えて、自分の意見を述べられるようになりたいと思い、そこで初めて外交・国際情勢に興味を持ちました。その際、そういえば外交に関する団体のイベントに参加したことを思い出し、7期生に応募しました。

 

薮中塾での活動で一番印象的だったものを教えてください。

10月勉強会です。テーマが若者の政治参加だったのですが、勉強会で自分の意見を発信するだけでなく、その後に選挙の行動に移せました。準備を重ねた上で意見を発し、その意見を行動に移せたので、いつもよりも成長を実感しました。自分たちが主権者として、投票率の低い若者として、同期の率直な意見を聞けたことも印象的です。外交・国際情勢などのテーマにおいて塾生の意見は論理性が強いが、10月勉強会のテーマでは当事者意識を強く持つ必要があったテーマであり、論理性だけでなく、感情も乗せた議論ができたように思います。

 

薮中塾で得られたものはありましたか?

一番は発言する度胸を得られたことですね。薮中塾って発言しないとダメなんですよ(笑)。発言することが当たり前の空間にいたことなんて今までなかった。他の塾生の意見を聞きながら、頭をフル回転して、自分の意見を考えて、その意見を発言する習慣がつきました。最初の頃は、自分の意見を言えなくて、存在感も薄かったと思います(笑)。だけど、最後の最後に一番成長した人になりたいと思って、1年間がんばることができました。いつも、専門外のテーマで、知識もないことが多かったので、そういった内容をリサーチする力もつきました。

専門外のテーマが多いからこそ、自分の専門分野を思い直すきっかけにもなりました。専門外の人に自分の専門がどう思われているか、国際的な視点から自分の専門はどのような位置づけなのかを考えるようになりました。広い視点から自分の専門分野を見直すきっかけになったという意味で、薮中塾に入って、国際情勢など広い視点だけでなく自分の専門性など狭い視点も得られました。

最後に、薮中塾に対する思いを聞かせてください。

奮い立たせてくれる場所でした。自分にとって、薮中塾はただ楽しい場所ではなく辛いと思うことも正直ありました。でも、そこから逃げたくないと思うようになったし、向き合いたいと思うようになりました。今となっては、逃げなくて良かったと思います。薮中塾は自分の中で、今の自分ではなく、10年後の自分が感謝する場所だとも思います。どんな風に自分が成長したのか、どんなことを薮中塾が与えてくれたのか、それら1つ1つのエネルギーが膨大すぎて今の自分では消化できていない部分もあります。それは、30歳くらいになったときに自分がいかに薮中塾で成長したのか分かるものだと思います。